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第2章 これまでの生き方


何を求めてきたのか

これまで我々はどのような生き方をしてきたのでしょうか? ただエゴ意識を否定しても何も始まりませんので、 現代人がどのようなライフスタイルを送っているのか、ライブドアに居た当時の私の体験も例題にしながら、 それを探っていきたいと思います。

大学を出てからライブドア事件が起こるまでの私は、左図のように一生懸命働いて、お金と同時にストレスも貯め、 買い物をしたり旅行に行ったりすることで、五感覚と脳を刺激し、心の満足を得るということを繰り返していたのですが、 いづれの満足もそれほど長くは続きませんでした。

何か新しい物を買っても、その満足感が続くのは少しの間だけのことで、 旅行に行っている間は楽しくても、東京に帰る頃には「あ〜、また明日から会社かぁ」と気が重くなります。 何かを楽しみに頑張ることはできても、その何かが持続的に心を満たすということはあまりありませんでした。 恋愛においても同様に、毎週のように合コンしては出会いを求め、彼女が出来ても1年以上続くことはなく、 脳内ホルモンが恋愛を楽しませてくれる期間というのも永遠ではありませんでした。

振り返ってみれば、仕事を通じてもっと給料を上げたい、より高いポジションに着きたいと考え、 プライベートでは自由や愛情を欲しいと願っていたのですが、それは右図のように成功と幸せを 追い求めて、上の@〜Dのサイクルを繰り返すというライフスタイルに他なりませんでした。

しかし、収入が増えれば支出も増え、ポジションが上がれば責任も増え、知名度が上がれば悩みの種も増えます。 財産や権力や愛、そういったものさえあれば、本当に幸せになれると信じていたのです。 もしあなたが望むお金が手に入れば、本当に幸せになれる自信はあるでしょうか? 理想的な結婚さえできれば、自分だけでなく相手も幸せにできるという自信はありますか? もし65億人を支配する権力が手に入るなら、愛する人だけでなく、この社会や世界全体をも幸せに させることのできる自信はありますか? いったい何が足りないから人は本当に幸せになることができないのでしょうか。

権力、財産、名誉、健康、愛、自由、そのすべてを、あなたが望むだけ手にすることができたとしたら、 本当に自分も、相手も、社会も、幸せにさせることができる!と言い切れる確信はあるでしょうか?

見過ごしていたこと

私は、深い考えもないまま、お金や愛や影響力を欲しいと願い、追い続けてきましたが、 何を手に入れても、その満足が続くことはありませんでした。それどころか、 以前は欲しいと思って手にしたものも、条件・状況・環境が変われば、 幸せの原因だったものが不幸の原因にもなってしまうことに気付かされました。

ライブドア事件は、そういう意味でも大変貴重な体験でした。株主、取引先、クライアント、 メディア、経営陣、同僚、友人のすべてが、たった1週間で手のひらを返したように言動を変えていく様は、 人間の本質を知る上で非常に多くの示唆を与えてくれたのです。

「今まで、いったい何をやっていたのだろう」と考え、それまでの自身の生き方に目を向けたとき、 先程の「一生懸命努力して、望むものを手に入れる」ことにばかり目が向き、 その為の“やり方・思い方・考え方”を学び・マネすることに多くの時間を割いていた自分に 気が付くことができました。

しかし、その後の「手にしたものを使って脳が幸せを感じる」際の“脳の認識の仕方”には目が行かず、 見過ごしていたばかりか殆ど無知なことを悟ってからは、改めて人間の脳や意識の謎に興味を駆られました。 下図のように、人のコミュニケーションの構造をみると「INPUT→THINK→OUTPUT」の繰り返しで、 「THINK」にあたるのがまさに“思い方・考え方”です。「OUTPUT」にあたる“やり方”も含めると、 「7つの習慣」「金持ち父さん・貧乏父さん」「引き寄せの法則」「人は話し方が9割」など 実に様々な“やり方”のハウツー本や成功哲学など“考え方”を指南する自己啓発本が出ています。

ところが脳の認識の仕方について触れた書籍は少なく、未だ解明されていない未知の領域であることが分かりました。

しかし、ワイシャツの最初のボタンを掛け間違えると、その後のボタンがすべてズレていくように、 認識の仕方を間違えば、その後にちゃんと考えて、表現にも注意してアウトプットしたとしても すべて無駄になるのではないか? そう考えていた頃に、仕事で大きなミスをしてしまいました。

上司から頼まれていた資料を言われた通りにまとめて提出したら怒られたのです。 『この手の仕事はもう何年もやってるし、これまでと同じようにまとめてるんだから、 考え方もやり方も間違ってないはず。なのに何故、怒られるんだろう?』そう思って尋ねてみたところ、 上司は「Aをやってね」と頼んでいたのに、私が「Bをやってね」と受け止めていたことが解りました。

まさに認識のズレです。結局、その日は一から資料を作り直す羽目になり、それまでの時間と労力が無駄になって しまったのですが、「認識の仕方」が間違っていると「考え方・やり方」が正しくても結果が出ないことの いい例だという教訓にもなりました。

あなたにも、認識がズレていたという経験や思い当る出来事はないでしょうか?

認識の重要性

ワイシャツのボタンを掛け違えるように「認識の仕方が間違っていると、考え方・やり方が正しくても結果が出ない」 ということに気が付いた後、ある疑問が湧いてきました。

「同じ単語を使って会話していても、その単語をどう認識するかは人によって違うのでは?」

なんか話が噛み合わないなぁ、と感じているときには、だいたい用いている単語をお互いが どう認識しているか(イメージ)が異なっています。そんなケースに遭遇した際に何度か 確認してみましたが、実際に同じ単語を使っていたのにも関わらず、その単語からイメージする ものはお互いに大きくズレていて、結果、話も噛み合っていなかったということが多々ありました。

「成功」や「幸せ」のイメージにしても、人によって思い描くイメージが異なるでしょうから、 同じ目的に向かっているつもりが違うものを見ていたなんてこともよくあります。 この「脳の認識の仕方」を理解して、日常生活に応用できている人というのは、 実は意外と少ないのではないでしょうか。

人間の脳は、五感覚からINPUTされた情報を認識した結果、意識的・無意識的に考え・思い巡らせ、 言葉にしたり、行動に移すこともあれば、表情だけに留めることもあります。自分では自覚できていないものも 含めたこの表情・言葉・行動があなたの人間関係を形作り、その人間関係をベースとして仕事や恋愛の様々な結果が生まれ、 日々の結果が1年、2年・・・と積み重なって、気が付けば10年、20年のあなたの人生を形成している――そう考えると、 「認識の仕方」が人生の結果を左右すると言っても過言ではありません。

次章では、この「認識の仕方」が生み出す問題について詳しく観ていきたいと思います。



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